桜が咲く頃に、私は
気を遣ってくれているのはわかるけど、私が求めているものはそれじゃない。


「どんなやつらだって聞いてんの。教えて」


「なんだよノリが悪ぃな! 誰が豚足だよこの野郎! まあいいけどさ。今尾と上野はなんて言うか……クズだよ。最近あいつらが遊びでやってることがあるんだけど、これがえげつなくてさ」


こんなことを言っちゃなんだけど、深沢がクズと言うくらいだから真性のクズなのだろう。


「遊び? それってもしかしていじめを遊びって言ってんの? 広瀬の怪我は……」


「多分そうじゃね? 私は直接見たことないけど、なんでも車に向かっていじめてるやつを蹴飛ばして、運転手から治療費って名目で金を巻き上げてるらしい。9月にD組のやつが病院に運ばれたけど、それもあいつらのしわざらしいよ」


そんなとんでもないことに広瀬は巻き込まれてるのか。


なのに、どうしてなんでもないなんて言うんだよ。


一歩間違えたら、私みたいに死ぬかもしれないのに。


「そんなの、警察に言えば良いのに。先生に言うだけでも証拠を掴んだら退学ものだよ? 良くて当たり屋、悪くすれば殺人未遂なんだから」


翠がそう言っても、深沢は苦々しい顔で首を横に振って見せた。
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