桜が咲く頃に、私は
空が仕事から帰って来て、少ししてから三人で晩御飯を食べる。
お風呂に入って夢ちゃんが寝るまで翠とメッセージのやり取りをして、空が寝ている部屋へと移動した。
もう、随分寒くなったせいか、最近では窓を開けて夜空を見上げることもなくなり、空は布団の中でぼんやり考えごとをすることが多くなった。
「雨、ずっと降ってるね。ちゃんと眠れてる?」
空の横に腰を下ろして尋ねると、窓の方をずっと見詰めたまま。
「最近、眠るのが怖いんだ。睡眠だけで残された命の三分の一くらい使ってるんだぜ? 一日で2も減るんだ。俺にはもう、後20日くらいしか残されてないのに、そのうち7日は寝てるなんて」
死が目の前に迫ってる。
私にはまだ少し時間があっても、空はそれよりも早くに尽きてしまう。
「ねえ……空。たしか余命って相手に渡すことが出来るんだよね。キスした時にそう願うだけで良いって。私の余命、分けようか?」
そう呟くと、空は私をジッと見詰めて、ゆっくりと身体を起こし、首を横に振って見せた。
「ダメだ。早春の命はもらえない。死ぬのは怖い……でも、早春には少しでも長く生きてほしいんだ」
お風呂に入って夢ちゃんが寝るまで翠とメッセージのやり取りをして、空が寝ている部屋へと移動した。
もう、随分寒くなったせいか、最近では窓を開けて夜空を見上げることもなくなり、空は布団の中でぼんやり考えごとをすることが多くなった。
「雨、ずっと降ってるね。ちゃんと眠れてる?」
空の横に腰を下ろして尋ねると、窓の方をずっと見詰めたまま。
「最近、眠るのが怖いんだ。睡眠だけで残された命の三分の一くらい使ってるんだぜ? 一日で2も減るんだ。俺にはもう、後20日くらいしか残されてないのに、そのうち7日は寝てるなんて」
死が目の前に迫ってる。
私にはまだ少し時間があっても、空はそれよりも早くに尽きてしまう。
「ねえ……空。たしか余命って相手に渡すことが出来るんだよね。キスした時にそう願うだけで良いって。私の余命、分けようか?」
そう呟くと、空は私をジッと見詰めて、ゆっくりと身体を起こし、首を横に振って見せた。
「ダメだ。早春の命はもらえない。死ぬのは怖い……でも、早春には少しでも長く生きてほしいんだ」