桜が咲く頃に、私は
そんな所でも問題を起こしているようなやつなんだね。


まだまだ子供なのに背伸びして大人ぶって、アウトロー気取ってるバカって印象が固まって来たよ。


「まあ、私は何かあってから動くことしか出来ないから。何もないことを祈るしかないんだけどね」


「そうだな。俺も、早春がこれ以上面倒に巻き込まれてほしくない」


そっと伸ばした空の手が、私の頬を撫でる。


優しく、慈しむように動くその手から、思わず逃げるように顔を逸らした。


「な、何してるんだよ。い、言っとくけど、私は絶対に空とはそんな関係にはならないから」


「どうして?」


「ど、どうしてって……だから! お互いに好きになったら、ただの作業のキスにも幸せを感じるかもしれないでしょ。現に空がそうなってんだから……」


死が近付く。


今になって、その原因となる行動は取りたくないと思うようになった。


一日でも長く生きたいと、少なくなった数字を見て切に思う。


「俺はもう早春を好きになってるし、どうしようもないんだよ。お前だって気付かなければ……こんなことにはならなかったかもしれないのに」


「気付かなければって……それ、どういう意味?」
< 151 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop