桜が咲く頃に、私は
うちのクラスであの状態だから、他のクラスに情報が回るのも時間の問題だろう。


詳しい情報ではなく、噂程度ならもう既に校内に広まっているかもしれない。


「どこの病院かわかる? わかったら連絡して」


真偽がわからない。


広瀬が今、どんな状態で、本当に今尾と上野が絡んでいるのかさえも。


ただの交通事故という可能性もあるし、話を聞かないと何もわからない。


「え!? ちょ、どこ行くの桜井!」


教室の方に向かって走り、人を探して次々と他のクラスを見て行く。


いない……今尾と上野がどこにもいない。


まだ登校していないのか、広瀬の件で警察沙汰になったのかはわからないけど、少しでも情報が欲しい時に限って見当たらない。


そんな中で私が目にしたのは……机に伏せて、今にも泣き出しそうな顔をしている友紀の姿だった。


あの様子では何も知らないかもしれない。


だけど、そんなことを言っている場合じゃない。


私は教室に入ると、友紀の前に立った。


「行くよ。そんな顔してただ心配してるだけで良いの? ほら、立って!」


そして腕を掴んで教室を出た。


まだ何もわかっていないのに。
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