桜が咲く頃に、私は
その後、お兄さんが呼んだ警察によって、今尾と上野は逮捕された。


翠が機転を利かせて起動したボイスメモに、広瀬の件の音声が入っていたこと、そして野次馬が撮っていた動画で今尾がナイフを振り回していたことが動かぬ証拠となったから。


空がギターで殴ったのもバッチリ映っていたけど、命の危機にあったということで正当防衛が認められるだろうと、簡単な事情聴取をその場で受けて、呼び出しがあれば応じるという形で終わった。


でも、無茶をするなと警察にはこっぴどく怒られた。


「なんか危なかったけど、何とか終わったね。やっぱ他人のゴタゴタに首突っ込むと疲れるわぁ……早春もお疲れ。私は帰るわ」


協力してくれた翠達は、手を振って帰って行った。


「見たかよ私の必殺・肉の壁を! 上野の野郎、弾かれて転がり落ちて行ったぜ!」


「危うく本当に殺すとこだったよね。姫ちゃんの腹、すげぇ!」


「だろ? ワンパクなワンパックを舐めるなよ! ギャハハハハ!」


翠達の背中を見ていたら、いつも思うことがある。


私は……いつからこんなに友達が増えたんだろう。


あの日死んで、生き返って、また死ぬ日が訪れると知った時から、やっと意味のある人生が始まったんじゃないかと、翠達を見ていたらそう思えるよ。
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