桜が咲く頃に、私は


また、新しい朝がやって来た。


12月24日、終業式。


昼までに学校が終わるから、翠と深沢は家に荷物を置いて駅に集合ということになった。


私と夢ちゃんは先に駅で合流して二人を待つ。


「そう言えばお姉ちゃん、いつお兄ちゃんと出会ったの? 妹としては気になるところでありまして」


言われてみれば、一度もそういう話を夢ちゃんにしたことがなかったような気がする。


「んー……そこ。そこで空がバンド仲間と演奏してたんだよ。それが私の15歳の誕生日の日でさ。泊めてくれーって頼んだけど、高校生になったらって断られちゃった」


当時、空と私がいた場所を指差して見せると、夢ちゃんはなんだか不思議そうに。


「もしかして、家出してたのってその時から? え、お姉ちゃん一度も家に帰ってなかったりする?」


「まぁ……ね。毎月お父さんからお小遣いが振り込まれるし、必要な物はそれで買ってる感じかな。今は天川家にお世話になってるけどね」


友達の家やネットカフェ、漫画喫茶、果ては見知らぬ人に頼み込んで泊めてもらったこともある。


考えたらよくやってたと思うよ、本当にさ。


「……帰らないの?」
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