桜が咲く頃に、私は
デート……デートか。


あれ?


そう言えば私、広瀬とも空ともデートらしいデートをしたことないんじゃない!?


「早春、大丈夫? あんた、デートって何するかわかる? 夕方くらいまでは何としてでも引っ張ってほしいけど、出来る?」


「わ、わかんない。でも、時間潰しならいつも翠とバーガーショップでしてたから……最悪それでいいかな?」


私の言葉に、深沢も夢ちゃんも呆れた様子。


「バカか! バカなのかお前は! デートもろくに出来ないのか! クリスマスにデートでやることがなくなったら、そんなもんラブホに連れ込めば良いんだよ! それで一時間は潰せるわ! クリスマスとかどれだけ混んでるか知らねぇけど!」


「おっと危ない危ない。嫌な予感が的中したよ。間に合った」


深沢が物凄い剣幕で私を責め立てている途中で危機を察した翠が、夢ちゃんの耳を塞いで声をブロック。


こんなこと、妹に聞かれたら気まずいからね。


翠……グッジョブ。


「ま、まあそれは置いといて、デートは何とかするよ。任せときなよ」


思いがけずデートをすることになったけど、私は多分、無意識にそういうのを避けてたんだろうな。


幸せを感じないようにする為にさ。
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