桜が咲く頃に、私は
楽しい時はあっという間に過ぎ去り、また、死を考える夜がやって来た。


解散したのが21時で、そこから後片付けやお風呂の準備で、気付けばもう23時。


夢ちゃんも明日から冬休みで、遅くまで起きているかなと思ったけど、そこは規則正しい夢ちゃん。


23時30分にはもう布団に入って寝息を立てていた。


今日もまた寝てないのかと、ふすまを開けると……案の定布団の上であぐらをかいて、窓の外を見ている。


「皆でご飯食べるのは楽しいね。おかげで『37』まで減っちゃったよ。空も『19』になってるし……やっちゃったかな」


今日は何となく、隣ではなく後ろから抱き締めるようにして、空の布団の上に腰を下ろした。


「なんか、あれみたいだよな。消える前のロウソクの火が激しく燃え上がる……みたいな」


「不吉なこと言わないでよ。まだ生きられるんだし。それにさ、少しでも長く生きようとして、感情を押し殺して死人みたいに生きたって……意味ないでしょ?」


少なくとも私はそう思う。


ただ、体が「生きている」だけで寿命を迎えるのが果たして本当に「生きている」と言えるのだろうか。


体は生きていても、心が死んでいるよりも、私は心が生きていて死を迎える方がいい。
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