桜が咲く頃に、私は
クリスマス・誕生日当日の朝。


「もう……勘弁してよ」


呆れたようなその声で目を覚ました私は、慌てて身体を起こして辺りを見回した。


ふすまを開けて、夢ちゃんが大きなため息をついて首を横に振っている。


「あ、いや……これはその……夢ちゃんがやってるみたいに寝たいって言ったから……」


「うわぁ……お兄ちゃん引くわぁ……」


これは何を言ってもダメだと思い、文字通り空を叩き起して説明をしてもらった。


夢ちゃんには「家では変なことはするな」と釘を刺されていたから、その誤解を解くのに時間がかかったよ。


何時からデートに行くとはっきり決めてなかったから、昨日のパーティの残りを食べながら話し合って、昼前に家を出ることに決まった。


朝のことで私達に悪態をついていた夢ちゃんにも、自然に今日の予定を伝えることが出来たから、後は出るだけ。


いつもと同じような何気ない会話をして、家を出る時間が近付いた。


準備……と言っても、家出少女の私にはそれほど多くの服はなくて。


せっかくのデートなのに、いつもと同じ私服で申し訳ないなと思いながら、時間になったから空と一緒に家を出た。


まさかこの日が、運命の日になるなんて思いもせずに。


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