桜が咲く頃に、私は
お墓参りが終わって、駅に向かって歩く。
「私だから別にいいけどさ、来世では初デートにお墓参りとかやめといた方がいいよ? 絶対ドン引きされるし、なんなら別れられるからね」
手を繋ぎながら、少しでもデートの雰囲気を出そうと。
「んー、だったら来世も早春と付き合うからいい。早春だって、俺の気持ちがわかってくれたからついて来てくれたんだろ?」
「まあ……そうだけどさ。あーあ、来世も空と一緒か。仕方ないから付き合ってあげるよ」
なんて冗談をいいながら、見知らぬ町を歩くのは楽しい。
いつも目にする風景と違って、新鮮で非日常が散りばめられているから。
ただの川でも、潰れそうな和菓子屋でも、そこには私が知らない日常があるのだろうから。
駅に到着して、電車を待っている間に路線図を見ていると、気付いたことがある。
「あ……ここ。お父さんの実家から近くの町だ」
離婚して実家に戻って、別の女の人と暮らしていると聞いたけど、お父さんが家を出てから一度も会っていない。
「そうなのか? だったら会いに行ってみるか? 会おうと思わなかったら、もう会えないぞ」
その言葉が、今日、空がお墓参りに行った理由なのだろう。
もう、私達に時間なんて残されてないから。
「私だから別にいいけどさ、来世では初デートにお墓参りとかやめといた方がいいよ? 絶対ドン引きされるし、なんなら別れられるからね」
手を繋ぎながら、少しでもデートの雰囲気を出そうと。
「んー、だったら来世も早春と付き合うからいい。早春だって、俺の気持ちがわかってくれたからついて来てくれたんだろ?」
「まあ……そうだけどさ。あーあ、来世も空と一緒か。仕方ないから付き合ってあげるよ」
なんて冗談をいいながら、見知らぬ町を歩くのは楽しい。
いつも目にする風景と違って、新鮮で非日常が散りばめられているから。
ただの川でも、潰れそうな和菓子屋でも、そこには私が知らない日常があるのだろうから。
駅に到着して、電車を待っている間に路線図を見ていると、気付いたことがある。
「あ……ここ。お父さんの実家から近くの町だ」
離婚して実家に戻って、別の女の人と暮らしていると聞いたけど、お父さんが家を出てから一度も会っていない。
「そうなのか? だったら会いに行ってみるか? 会おうと思わなかったら、もう会えないぞ」
その言葉が、今日、空がお墓参りに行った理由なのだろう。
もう、私達に時間なんて残されてないから。