桜が咲く頃に、私は
「久しぶりだな、早春。元気にしてたのか?」
お父さんがドア開けて、驚いた様子だったけれど、私達を家に上げてくれてリビングで話をすることになった。
この家は変わらない。
ずっと昔から、私の記憶の中の家と同じだ。
「まあね。誕生日に家出して、友達の家とかネカフェなんかを転々として生きてきたよ。もう一年近く家には帰ってないけど元気だよ」
「家出……か。あいつに任せて家に帰ったものの、まさかお前がそんな生活をしてたなんて。ところで、こちらの男性は」
私の言葉に少しショックを受けていたようだったけど、すぐに空を見て訝しげな表情に変わったけど、空は冷静だった。
「はじめまして。天川空です。早春さんとお付き合いさせてもらっています」
「今は空の家に住んでるんだ。空と、妹の夢ちゃんと三人でね」
一瞬、お父さんの顔が強ばったものの、夢ちゃんの名前を出したら少し表情が緩んだ。
「そうか……いや、父さんには何も口出しする資格はないな。まさか家出をしてるとは驚いたけど、早春は早春の居場所を見付けたんだな。それで、今日はどうしたんだ? 彼氏と二人でやって来るなんて、まさかその歳で結婚とか言い出すわけじゃないよな?」