桜が咲く頃に、私は


「ハッピーバースデーお兄ちゃん!」


家に戻り、ふすまを開けた瞬間クラッカーが鳴って、今日もまたカラフルなLEDライトが部屋を照らしていた。


二日連続のサプライズパーティに驚くかと思ったら……空は冷静そのもので。


「うん。知ってた」


そう言って、LEDライトの電源を切って蛍光灯を点けた。


「えーっ! 何!? もしかしてお姉ちゃん、言っちゃった!? サプライズなのに!」


「マジかよ桜井! せっかくのサプライズをぶち壊したのかよ!」


夢ちゃんと深沢の圧力が凄い!


けど、私は何も言ってない!


「早春じゃないって。夢がさ、朝から早く俺と早春を家から出そうとしてたし、時間を気にしてたし……また何かやるんだろうなって気付いてた」


そう言われれば、いつも以上に空に話し掛けてた気がするな、夢ちゃん。


「ま、まあ……サプライズは失敗でも、パーティは失敗したわけじゃないからね!? 気を取り直して、ハッピーバースデー天川!」


翠が残りのクラッカーを鳴らして、空の誕生日パーティが始まった。


最後の誕生日だから、形に残るようなプレゼントは夢ちゃん以外はない。


その代わり、空が好きな食べ物をいっぱい用意した。


美味しそうに空はそれを食べていたけど……嬉しそうな顔をしている割に、「16」から数字が減っていないことが気になった。
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