桜が咲く頃に、私は
美味しいものを食べて、皆で騒いで、空も笑っていたはずなのに。


余命を減らしたいわけじゃないけど、楽しめてないのかなと不安になってしまって、私も数字が減るほどの幸せを感じることが出来なかった。


思えば、この時の空はある決意をしていたんだと思う。


パーティも終わり、後片付けをして解散。


21時には解散して、昨日と同じように23時には落ち着いていた。


「夢、悪い。ちょっと早春と散歩してくる。一人で大丈夫か?」


布団に入ろうとしていた夢ちゃんに、ふすまを少し開けた空が尋ねた。


「夜のデートにでも行くの? いやらしいんだ。でも良いよ。風邪ひかないように行ってきなよ」


「バ、バカ! そんなんじゃねぇよ」


そう言いながら、空が私に手招きをしたから、服を着替えて空の言う、夜の散歩に行くことにした。


こんなことは初めてで、少しだけドキドキする。


家を出ると、空が私の手を取って、自分の上着のポケットの中に入れた。


「やっぱ寒いな。冬の夜はさ」


「なに、どうしたわけ? あ、もしかして翠と深沢がいたから、甘えられなかったから外に出たんでしょ。可愛いとこあるね」
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