桜が咲く頃に、私は
一体こんな夜中にどこに向かうつもりだろう。


もしかして、本当にラブホとか行こうとしてたりする?


そうだとすると、ちょっと緊張してきた。


お風呂に入ったばかりだから、下着は大丈夫として……って、そうじゃない!


「ねえ、どこに行くの? 本当に散歩なの?」


「んー、ちょっと違うかな。俺にとっては、凄く大事な用事というか……行けばわかるよ」


そう言った空の横顔は、なんだか楽しそうで、私もそれにつられて微笑みを浮かべた。


しばらく歩いて、やって来たのは駅前。


まだクリスマスイルミネーションが点灯しているけど、少し人通りが少なくなっている。


「さっきの続きをしよう」


突然、笑顔で空が言った言葉に、私は首を傾げた。


「さっきのって……キスの続き? いらないよ、恥ずかしいから。あー……でも、もうすぐ日が回るのか。もしかして断らせない為にわざわざここまで連れて来たってこと?」


夕方にここでしたキスは10秒も経っていなくて、私達の命を繋ぐにはもう一度、10秒以上キスしなければならないんだ。


だからって、何もここまで来てやらなくても……。


夕方より少ないとはいえ、カップルや家に帰ろうとしている人達が沢山いるのに。
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