桜が咲く頃に、私は
「は? 桜井お前、何調子に乗ってんの? 広瀬はうちらのパシリなんだよ。お前は一体なんなんだよ」


立ち上がり、私は胸をドンッと押されたけど、何とか耐えて。


「汚ねえ前足で人間様を押してんじゃねぇよ。広瀬はな、私の彼氏なんだよ! 人の彼氏を使ってんじゃねーよ!」


今度は私が押すと、深沢は驚いた顔を浮かべながら、尻もちをつくように椅子に座って。


そして、笑い始めると同時に教室中がざわめき始めた。


「ぎゃははははっ! それマジで言ってんのお前! 広瀬が彼氏って! チョーウケるんですけど! あー、人の彼氏の金で飲むコーラはうめえわ! パシリとビッチでお似合いなんじゃね? ぎゃははははっ!」


涙を流しながら笑う深沢が、ペットボトルのキャップを開けてコーラを口に運んだ。


が、私はそれを手で遮って。


「少なくとも、人をバカにしてばかりの、自分がバカにされてることに気付いてねぇブタよりは何百倍もマシだよ」


と同時にメントスを入れて私は深沢から離れた。


「あ、あの……桜井さん」


「行くよ、広瀬」


広瀬の手を取り、私はそのまま教室を出た。


瞬間、深沢のコーラが噴き出して、ブヒブヒ言っていたけど私にはどうでもいいことだった。
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