桜が咲く頃に、私は
本当に……一人で全部決めてさ。


いつもクールぶって、でも本当は思春期の男の子みたいに、照れて、恥ずかしがって、思っていることの半分も伝えられてなかったんだって、今ならわかるよ。


「そんな想いで……私を散歩に連れ出したんだね。本当に……バカなんだから」


手紙をギュッと抱き締めて、溢れる涙が頬を伝ってこぼれ落ちるのを感じる。


私が聞けなかった天使の言葉を、空は聞いていたんだね。


つまり……私は後45日生きることになるんだ。


空がいない45日。


「どうして空は……45日に何の意味があって……」


顔を上げて、ふと目に入ったカレンダー。


私はゆっくりと近付いて、今年も残り少なくなったカレンダーと、その下にある新しい年のカレンダーに人差し指を向けた。


「今日が26日……明日になったら44になる……43、42……」


一日一日、日を進める毎に数字を減らして数えて行く。


私が一体何日まで生きるのか、そして、空が託した余命の意味を求めて。


「3、2、1……0……2月9日に0だ」


私の誕生日……に届いてない?


と、思ったけど、空の手紙を読み返して私は気付いた。
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