桜が咲く頃に、私は
空は、昨日の夜にキスをした時、私に余命の全てを渡した。


この時に数字は0になっていて、日が変わるまでは生きていられたってこと?


だから、私が死ぬのは2月10日に変わった時。


それに気付いた時、私はその場に膝から崩れ落ちて、また涙を流した。


「バカ……死んだら何歳かなんてどうでも良いでしょ……15歳でも、ずっと空のそばにいるのに……」


それでもきっと、空にしてみれば私に誕生日を迎えてほしかったんだと思う。


でも、それよりもやっぱり空を失ったことの方が辛くて……私は素直にそれを受け入れられなかった。


その後、朝御飯も食べずに、畳んだ空の布団にもたれかかって横になって。


明るくなった部屋の中でぼんやりとしていた。


少しでも何かを考えてしまうと、空に繋がって泣いてしまいそうだったから。


時間というのは短くても気持ちを整理する時間をくれる。


空が死んだという事実よりも、空がいない寂しさの方が大きくなって行く。


元々私達は一度死んでいたし、死後の世界も見ているから、死ぬこと自体は受け入れられているのかもしれない。


ぼんやりとして、それでも時々涙が流れる。


何時間経った時だろうか。


アパートのドアが開いて、こちらに向かって来る足音が聞こえたのだ。


あ、鍵かけてなかったっけ。


なんて思いながらも、私は動く気にはなれなかった。
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