桜が咲く頃に、私は
しばらくして、夢ちゃんのおじさんとおばさんが帰宅して挨拶を済ませると、どうやら私のことは空から聞いていたようで、一緒に暮らしていたことも知っていた。


親類縁者の少ない空の家族として、私が参列することに文句を言う人はいないとのことで、その好意に甘えさせてもらうことになった。


近くにある葬儀場でお通夜と葬式をするようで、空のお母さんの時にお世話になった場所だと聞かされた。


夜になり、私は葬儀場に作られた祭壇をぼんやりと見ている。


親戚は少なかったけれど、両親の知り合いや、空の友達が多くて。


その中に花子もいたけど、誰よりも取り乱していて、声を上げて泣いていたのが印象的だった。


そして、始まってしまえばすぐに終わってしまうもので。


私達が心の整理をするというよりも、他の人達の心の整理やお別れを見ているだけという感覚だった。


その次の日のお葬式も、私は夢ちゃんの隣で。


いよいよ空という存在が、この世から消えてしまう時間が来た。


火葬場に出発したお棺を乗せた車を、翠と一緒に見送って。


多分、これ以上一緒にいれば無茶を言ってしまう気がするから。


夢ちゃんが大丈夫だということを確認して、私はアパートへと帰ることにした。


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