桜が咲く頃に、私は
それからの日々は、私も夢ちゃんも抜け落ちた何かを埋めるように生きた。


と言うよりも、必死に求めたのかもしれない。


夢ちゃんは学校が始まってすぐにあった、高校の推薦入試で合格して、春からは高校生になる。


あんなことがあったのに、本当に強い子だ。


空が託した残された日々で、空が私達に何をしてほしかったのか。


そんなものはないのかもしれないけど、それでも私は死んだ時に胸を張って空に会いたい……とは思っているけど、現実はそうもいかなくて。


思えばこの時には、昔はよくため息をついていたのに、それもほとんどなくなって。


代わりに空を見上げるようになっていた。


1月20日。


寒い日が続き、屋上や階段で昼食を摂ることもなくなった。


わざわざ震えて食べるより、ストーブの周りで温まって食べる方が良いと、翠や深沢も動こうとしないから。


「……あと20日ほどか。短いね。早春、あんた大丈夫なの?」


「なんかね、長いんだ。空がいなくなってから今まで、まだ一ヶ月も経ってないのに、今までの人生より長く感じるんだ。何もなかったあの頃よりも何も感じない」


とはいえ、時間が来たらお腹が空くし、夜になったら眠くなる。


私の身体はしっかり生きているのに、心がついて行っていない感じだ。


「じゃあどうすんの。このまま死ぬ日を迎えて、天川に会った時なんて言うの。まさか『何もせずに生きるだけ生きたよ』とでも言うつもり?」


< 249 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop