桜が咲く頃に、私は
それから一週間が過ぎた。


あの話から多少ギクシャクしたものの、夢ちゃんは少しずつ私と空の運命を受け止めてくれているようで、私との時間を大切にしてくれている。


きっと、もう夢ちゃんは大丈夫だと思う。


問題は……お母さんの方だった。


学校帰りに翠に家について来てもらっていたけど、いつ行ってもいない。


専業主婦だったあの人が、一人で生活出来なくなったから仕事でも始めたのかなと思ったけど、土日にも姿はなくて。


郵便受けに何も入っていないから、家に帰ってないということはないようだけど……一体何をしているのか。


「今日もいないっての？ 本当何やってんのあんたの母親は。子供が一年も家を空けてて、気にもしないわけ？」


「そんな人だからお父さんは離婚したし、私が家出をすることになったんでしょ。それでも一応私の母親なんだよ。死ぬ前に話を……って思ったけど、無理かもね」


今更、お父さんとよりを戻せとか、母親らしいことをしろとか言うつもりはない。


私はもうすぐ死ぬから、少しでもその前にお互いに誤解があるなら解いておきたいと思ってる。


お父さんみたいに、理解してくれるかもしれないから。
< 265 / 301 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop