桜が咲く頃に、私は
そのまま少しだけ泣いて、涙を拭った時だった。


「やっぱりいた。てか寒っ! なんでこんなとこにいんだよ。私も誘えっつーの! あん? どしたの。なんで二人とも泣いてんの?」


深沢が、私達を探していたようで屋上に出て来たのだ。


泣いている私達を不思議そうに見て、近付いて来る。


「な、なんでもないよ。ほら、早春。深沢にも何か言ってやんなよ。深沢がここまで変わったのも、あんたのおかげかもしれないんだし」


「はぁ? 私は何も変わってねぇっつーの! まあ、なんつーの? ちょっとした路線変更はあったとは思うけどさ」


わがままで自意識過剰で勘違いしていた深沢。


自分より立場の弱い人をいじめていたけど、食いしん坊キャラになると言ってからは驚くほど変わった。


私のことを手伝ってくれたり、一緒にパーティをしてくれたりさ。


昔いじめていた広瀬の為に、協力もしてくれた。


そんな深沢をそっと抱き締めて、大きく深呼吸をする。


「ありがとうね深沢。喧嘩もしたけど、あんたといるのは楽しかったよ。あんたは良いやつだから、人の為に何かしたら絶対に好かれるよ。お願い。翠と一緒にいてあげてね」
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