桜が咲く頃に、私は
突然の私の行動に、深沢は驚いて戸惑っている様子。


「え? あ? な、何? い、いや、言われなくたって私は誰からも好かれる姫ちゃんだっつーの。てかやめてよ気持ち悪い。やめてよ……もしかしてあんた、自殺でもするつもりじゃないだろうな! 空さんが死んだからって……それは許さないからな!」


手に持ったお弁当箱を床に落とし、私の肩を掴んで前後に揺する深沢。


「大丈夫……そんなことしないから。私は死ぬまで生きるよ」


その言葉に安心したのか、深沢はフウッと吐息を漏らすと、落としたお弁当を慌てて拾い上げた。


「じゃあなんだよ一体。あ、金なら貸さねえかんな? 私だって持ってないし……あー……弁当箱割れちゃったよ」


深沢は相変わらず深沢だ。


口は悪いし、食べることばかり考えているけど、私が自殺をするんじゃないかって思った時の顔は真剣そのものだった。


本気で心配してくれていた顔だ。


「深沢も、私と友達になってくれてありがとうね」


「ちょ……マジで気持ち悪いんだけど。し、仕方ないだろ。智美も百合子も彼氏で忙しそうだから。仕方ねぇから寂しそうな桜井達の相手をしてやってんだよ。あ、でも私にも彼氏が出来たらお前らの相手なんてしてる余裕ないかんな!?」


立ちながらお弁当を食べ始めた深沢は、そう言って箸で私と翠を指した。


深沢らしくて安心したよ。
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