桜が咲く頃に、私は
夕方、手紙を書いている時に詰まった部分。


私はこれで良かったんだと、駅に到着して思い返した。






~私がいなくなっても、お願いだから強く生きてください。


夢ちゃんの命が尽きるその時まで、生きられなかった私と空の分まで生きてください。


その時に、夢ちゃんが歩んだ人生という旅のお話を聞かせてください。


その時まで……片隅で良いので、夢ちゃんの心に私も住まわせてください。


これから夢ちゃんを待っている沢山の幸せ、沢山の不幸、それらを私と空にも感じさせてください。


夢ちゃんは一人じゃないって、私達がいつもそばにいるって。


だから、今は少しの間のお別れです。


出来れば、桜が咲く季節までは生きたかったけど、それも叶わないね。


最後に。


私をお姉ちゃんと呼んでくれてありがとう。


私に甘えてくれてありがとう。


家族になってくれてありがとう。


一緒に生きられなくてごめんなさい。


桜井早春~




スマホの時計を見ると23時17分。


もう、40分ほどの命。


空と初めて出会った場所。


空が死んだ場所。


だから、私もここで命を終える。


一年前、ここで演奏していた空がいた場所に移動して屈むと、私は目を閉じた。


もしかしたら、あの時からこうなることが決まっていたのかな。


なんて。
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