桜が咲く頃に、私は
One Step
それから、私はどうしても泊まる場所がない時は、空の家に泊めてもらうことになって、いつもと変わらない日々を過ごしていた。


広瀬との関係もあまり変わらず、相変わらずまだ名前で呼び合う仲にはなっていない。


まあ、琥太朗と呼ぶより広瀬の方が短いから私は良いんだけど。


私の数字は「160」、空は「166」と、少しずつ差が付き始めた。


10月18日。


死に向かって準備を進める空と、精一杯生きると決めた私では、幸せの感じ方が違うのかもしれない。


「広瀬さ、あんた学校祭の準備ってしてる?」


立ち入り禁止の屋上で、いつものように広瀬とお昼ご飯。


「う、うん。皆帰っちゃうから、残った人だけでやるのはちょっと厳しいけどね。でも、何とか間に合いそうだよ」


変わったのは、広瀬が敬語を使わなくなったことくらいかな。


「私も帰る人の一人ってことだよねぇ。てか大丈夫? 嫌なこと押し付けられてない?」


「……誰かがやらないといけないから。うちのクラスだけさ、間に合いませんでしたとか言えないでしょ」


そう言われると……なんか、ちょっぴり心苦しいな。


クラスの為とかじゃなくて、私が手伝わないことで、その負担が広瀬にかかってるかと思うと。
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