桜が咲く頃に、私は
〜放課後〜


「早春、今日はどうすんの? また例のところに泊まんの?」


授業が終わり、翠が私の席までやって来て尋ねたけど、私は首を傾げて。


「ねえ翠。あんたさ、学校祭でうちのクラスが何するか知ってる?」


「はぁ? 知らねぇよんなもん。てか何? 愛しの彼氏が頑張ってるから、あんたも頑張ろうとか思ってたりする?」


「んー……そうかもね。翠、あんたも暇なら手伝いなよ。私の最後の学校祭だからさ、一緒にやってみない?」


「……あんたさ、そういうこと言うのやめてくんない? 泣けてくるわぁ」


手を目に当てて、泣いているような仕草をする翠。


ぜんっぜん気持ちが伝わって来ないんだけど。


「ま、あんたがやるってんなら、別に手伝ってもいいけどさ。それより本当に広瀬とこのまま続けるつもりなわけ?」


「なんで。別に良いだろ。今のところ別れる理由もないし、広瀬も離れるつもりがないみたいだしさ」


前にも言ったし、それがわかってるから昼休みは私と広瀬の二人きりにしてくれてるんじゃないの?


一体何を心配してるのかはわからないけどさ。


「いや、本気で言ってる? 早春はさ、毎日彼氏以外の男とキスしてるんだよ? 何も知らない人がそれを知ったら、ただの浮気だし二股だかんね?」

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