桜が咲く頃に、私は
私達のクラスが何をするのか知らないまま、作業をしているという家庭科室に向かった。


「はいはい口を動かさずに手を動かす! 学祭に間に合うようにキリキリ働けや! そこ! サボってっとぶん殴るからな!」


家庭科室に入ってみると、15人くらいのクラスメイトを、深沢とその取り巻き二人が奴隷のように働かせていた。


どこからか竹刀を持って来て、まるで現場監督気取りだ。


「うへぇ……なんで深沢が仕切ってんだよ。偉そうにして、あいつ何もしてねぇじゃん」


ミシンの動く音が響く室内で、広瀬は……いた。


看板か、アーチのような物を5人くらいで作っているみたいで、教室の前の方に。


「広瀬、これは何してんの? 手伝うよ」


そのグループに近付いて、そう言ったら広瀬は驚いたように声を上げた。


「さ、桜井さん!? な、なんで……」


「なんでって……私も同じクラスだし? そりゃあ手伝うよ。でもさ、うちのクラスって何するの?」


広瀬の横に屈んでそう尋ねた時だった。


教室の裏から騒音とも思える大声で、現場監督が竹刀を持ってこっちにやって来たのだ。


「メイドカフェだよ! 深沢姫with1年C組のな! 私が主役でお前らは裏方! わかったらさっさと動けよ!」
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