幼なじみと契約結婚しましたが、いつの間にか溺愛婚になっています。
それはお弁当箱で、無ければ明日のお弁当を作る時に困るし、毎日洗わなければ匂いも付いてしまう。そう思って、だいぶ駅に近い場所にいたけれど引き返し、事務所のセキュリティキーを使って裏口から入った。
ロッカールームに置き去りになっていたお弁当箱を持って出ていこうとした時、ふと、途中の先生の部屋が気になった。
建物に入った時から、灯りがもれているのには気づいていた。先生が居残って仕事をするのは珍しくなかったし今日もそうだから、で流していたけど、戻ってきてみると、なんだか変な感じがする。
静かなせいで、自分の足音もひそめるように歩いていたからだろう。部屋から漏れ聞こえてくる妙な声に、気づいてしまった。
それは悲鳴のようでもあり──喘ぎ声のようでもあり。
閉まり切っていなかったドアの、隙間をそっと広げて、覗いてしまって。
椅子に座り、服を着崩した先生。
先生の膝にまたがり、上半身が下着だけの姿で抱きつく中邑さん。
二人が抱き合いながら体を揺らす現場を、見てしまったのだった。
そしてほどなく、向こうも、覗いている私に気がついて、目を見開いた。