幼なじみと契約結婚しましたが、いつの間にか溺愛婚になっています。
とはいえ、その点も「できる時にやれる方がやる」スタイルで、掃除したらホワイトボードに書いておくことになっている。昂士くんは案外きれい好きで、朝早く起きた時にはフローリングのモップ掛けとかをマメにやってくれていた。
それに水回り各所は、休日には必ず二人で掃除している。私も一人暮らしが長いだけに、掃除はそれなりにちゃんとする習慣がついているのだ。
おかげで、家事分担でどうのこうの言い争うような、結婚で「あるある」な問題は私たちの間に起こっていない。まあもちろん、そういう契約をもともと交わしているからだと言えるけど。
「いただきます」
テーブルについて手を合わせる私の後ろから、カレーを温める匂いが漂ってくる。スパイスの香りが鼻を刺激して、美味しそうだなと思いつつ、豚汁をすすった。
「ごちそうさまでした」
「相変わらず早いな。今日もそれだけ?」
私の前にある、ご飯茶碗と味噌汁用のお椀、そしてサラダの入っていた器を指して昂士くんが言った。彼の手には、山盛りご飯にカレーがたっぷりかけられた大きなお皿。
「もう知ってるでしょ。これでもわりと小食なのよ」