幼なじみと契約結婚しましたが、いつの間にか溺愛婚になっています。
背が169センチと高めのせいか忙しい仕事のせいか、よく食べると勘違いされがちだ。いつだったか居酒屋に行った時も、自分で注文しただし巻き卵とサラダは半分食べたけど、それ以外の皿にはほとんど手を付けなかった。
「そっちこそ、そんなによく食べられるわね。しかも3日連続カレーって」
たいへん美味しそうな匂いではあるけど。
「言ったじゃん、好きなんだよ。自分で作ったら好みの味付けにできるだろ。今回は特に旨くできたし」
ご満悦な顔で昂士くんは笑っている。そんな顔は同居生活を始めてから何度も見ていて、見るたびに、少しドキドキしている自分がいる。
彼のスペックの高さは、間近で見るとけっこう刺激が強い。そんな事実に、出会って20年以上も経った今、気づいた。
ルックスの良さもさることながら、私から見ても高いと思う、185センチの高身長。素性の良さは言うまでもないし、創業者一族とはいえこの年で西日本の統括担当になるぐらいだから、仕事もできるはず。
そして、料理もできるし、洗濯も掃除もちゃんとやっている。
同居人として申し分ない資質で、だからこそ私も楽ができているのだけど、精神面では、思いがけず心乱される瞬間がある。しかも、日を追うごとに、その数が増えているような気もする。