幼なじみと契約結婚しましたが、いつの間にか溺愛婚になっています。
冷凍庫に入れてある保冷剤を取り出し、ハンカチに包んで、首筋に当てる。熱で辛そうな呼吸が、少しゆっくりになったような気がした。
こんな調子では、もし急に何かが起きたとしても、私を呼ぶことはできないだろう。
冷たい水を入れた洗面器とタオルの替え、ミネラルウォーターとゼリー型の補助食品、タブレット、スマートフォンを、自分の寝室から運んできたローテーブルに並べた。夕食用に用意していた焼き魚と味噌汁は明日の朝に回すことにして、今日は冷凍のワンプレートで手早く済ませよう。
レンジでチンしたプレートを持って、また部屋に戻ってくる。タオルがもう温もっていたので、水で濡らしてしぼり、額に載せ直す。
少しの間でも、目を離すのが心配だった。
……そういう気持ちになるのは、契約結婚の仲だから。
4ヵ月一緒に暮らしている間柄、同居人、間借りの身だから、心配になるのだ。
たとえそうでなくとも、目の前で誰かが高熱で倒れたら、普通は心配する。
心が落ち着かない理由を立て並べて、少しでも落ち着こうと努力した。
持ち帰った仕事をタブレットでチェックしていても、5分に一度は彼の様子をうかがってしまう自分の、心の奥底の気持ちが浮かび上がらないように。