幼なじみと契約結婚しましたが、いつの間にか溺愛婚になっています。
【第4章】困惑と変化
次に目覚めた時、スマートフォンの時計は6時過ぎを示していた。
鼻先に温かな匂いを感じて顔を上げると、彼の顎がこつんと頭に当たる。
数時間前の出来事を思い出して、頬が熱くなった。
背中に回されている腕からそっと抜け出し、床の服をかき集めて部屋を出る。
シャワーを浴びている途中で、胸元や乳房に残る赤い点に気づいて、また顔に血が上ってしまう。
初めてなのに、あんなに気持ちいいと感じられるなんて、思わなかった。
そういうこともあるのだろうか……経験がないから見当もつかないけど。
身支度を整えて、キッチンで味噌汁を温めていると、リビングダイニングの扉が開く。昂士くんが入ってきたに違いないが、恥ずかしさが先に立って、顔を上げられない。
彼は彼で、何も言葉を発さずに、こちらへ近づいてくる。
何だろうと思っているうちに、背後に回られ、後ろから抱きしめられた。
心臓がぴょんと跳ねる心地がする。
「おはよう」
「──お、はよう」
密着した背中から、熱が体に広がるのを、抑えられない。
いい匂い、とうなじに顔を埋めながら彼がつぶやく。
「……お味噌汁が?」
「そっちもだけど、佐奈子が」
明るい所で呼び捨てにされると、こんなにも照れくさいものなのか。今の自分の顔は絶対に見せられないと思った。