幼なじみと契約結婚しましたが、いつの間にか溺愛婚になっています。

 30分ほどして部屋に運ばれてきた夕食は、予想通りというか、とても豪華だった。
 お造りの船盛り、石板で焼くステーキ、サラダから果物に至るまでが、二人では食べきれないほどに次から次へとテーブルに載せられる。

 さらには、高級ワインと有名パティスリーのケーキまで。昂士くんが持ち込んでいたらしい。どうりで行きの荷物がなんだか多いと思った。

「1日遅れだけど、誕生日おめでとう。30歳の佐奈子に乾杯」

「ありがとう……」

 ここまでされると、なんだか逆に、気が抜ける。
 満足そうに笑っている昂士くんを見ていたら、これだけの大仰な仕掛けも「まあいいか」と思えてきてしまった。

 おかげでというか、食事とワインとケーキを、心ゆくまで堪能できた。


「……あ、だめっ、こんなとこで……っ、あ」

 誰もいない露天風呂で、背中から抱きすくめられ、胸を愛撫される。

「最近時間合わなかったろ。我慢してたんだ──抱かせて」

「ふ、ぁ、……あぁっ」

 腰を持ち上げられて貫かれると、他のことはもう考えられない。
 ぱしゃぱしゃと湯を跳ね上げながら揺らされ、あっという間に絶頂を迎える。

 その後、戻った部屋でも、繰り返し求められた。

「やぁ、あ、んっ、もう限界──昂士、くん」

「っ、まだダメ。呼び捨てにして、佐奈子」

「あ、ぁんっ、こうじ、昂士……あぁぁっ!」

 何度達しても、まだ足りないとばかりに、彼に翻弄される。
 そうやってされるがまま、激しく抱かれることに喜びを感じている私は、もう完全に彼の虜だった。
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