夢ひととき
夢想うとき
強風に煽られ、木々がざわめく。辺り一面何処を見ても
真っ白で、右も左も分からぬ私は、進むべき道も分から
なければ、行く宛てなど何処にもなかった。
小さな村の貧しい家に生まれた私はいつも腹の虫を鳴か
せていた。働かないと飯すら貰えぬものだから、毎日朝
も昼も夜も必死に働いた。食器洗いに洗濯におつかい。
だが、どんなに働いたって貰える飯は変わらなくて、自
分が生まれた環境を恨んでみたりもしたがそんなことは
無駄だとすぐに思った。