夢ひととき
夢みえるとき



ふわり、ふわり。

頬に微かな何かを感じた。

そっと目を開く。吹雪が止み、雪が降っていた。

陽の光に照らされてキラキラと輝く雪は、いつの日かに

見た、砂糖菓子に見えた。



それをくれた人は旅の途中だ、と言っていたような気が

する。今もどこかを歩き続けているのだろうか。

「お手伝いかい?偉いね。そんな君にご褒美をあげよう」

生まれて初めて優しさに触れた瞬間だった。



あぁ、これは空からの贈り物か。きっとあの人はどこか

でまた、他の人にも優しさを配り歩いているのだろう。



温かい。



口を開いて空からの贈り物を味わう。

甘いなぁ。あの日の砂糖菓子と同じ味だ。


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