星の降る夜
――そういえば、咲ともゆっくり話していない。
ようやく手に入れた、大切な彼女。
朝は大体一緒に行くけれど、お互い低血圧だということもあり、会話は少ない。
「…ゆっくり話してぇなぁ。」
口から漏れた呟きは、マフラーに阻まれてほとんど音にならなかった。
家は隣で、高校も同じ…という恵まれた環境にあるとは思えないほど、会える時間はごくわずか。
このまま、試合が終わるまで、無理だろうか。
せめてクラスが一緒だったなら、こんなに悩むこともなかっただろうに。
文系の咲と理系の自分は、来年も同じクラスになることはない。
わかりきっていた事実にもへこむほど、連日の疲れと寒さが弱気にさせていた。