俺にしときませんか、先輩。
落としたい人いるんで、相談乗ってください
*
*
「………あ、」
そんな、間の抜けた声と一緒に、振り向いた顔を見て思ったことはひとつ。
…やっぱり、浮気してた……。
ちょうど影ができている廊下。
それも、2人分の。
細い腰に手を当てているのは私の彼氏で、その相手は………あー、知ってる子だ。
「なんで、おまえ、ここに…」
なんでって、本気で言ってるんだろうか。
どう考えても、それはこっちが言いたいことで。
私は美術部なんだから、美術室に行くには、その前の廊下は必然的に通ることになる。
それなのに、よりよって、ここで──。
「あー、マジか」
「……隠す素振りくらいしたら?」
「無理だろ、おまえ、そういうとこ、勘いいし」
うん、まあね、合ってるけど。
お互い向き合って身体をくっつけてたんだから、どんな言い訳されたところで、なにをしようとしてたのかくらい、わかる。
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