俺にしときませんか、先輩。
断りの文字を打つのも慣れた指先で、俺は行かないとだけ返信を送る。
すぐに画面を真っ暗にして、考えるのは先輩のこと。
いつになったら、男として見てもらえるのか。
そんなの焦ったところで、どうにもならないことはわかってるのに。
気持ちが追い越すように先を行く。
……だめだ、俺。
氷だけが残ったコップ。
その先の透明の包み袋。
再度取り出した、色褪せた画用紙。
そこに描かれた先輩の変顔を見て思い出すのは、まだ幼いある日の出来事だった。