俺にしときませんか、先輩。
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俺の家は、自慢じゃないけど、結構仲良くやってきた方だと思う。
父さんは普通のサラリーマンで、身体の弱い母さんは家で衣服を縫う仕事をしていて。
入退院を繰り返すような生活でも、本人は花が咲くように笑顔が似合う、よく笑う人だった。
そんな母さんの血を受け継いだように明るく育ったのが姉ちゃんで。
俺はきっと、母さんの頭の良さをもらってるんだと思う。
父さんは少しドジだけど、度がすぎるほどにお人好しで、とにかく人がいい。
家族4人、まるでテレビにでも出てくるように仲睦まじく過ごせていた。
けれど月日が流れて。
桜が踊り散るようになった4月、入院している病室のベッドでお花見したいね、なんて話していた翌日の午後に、母さんは息を引き取った。
その日、珍しく、窓を叩くほどの大雨が降った。