俺にしときませんか、先輩。

ふたりを見てそう言った沙葉に思わず声をあげる。

ちがうみたいって、なんで?

あのふたり、両想いなんじゃないっけ…。



「なんかね、この間それとなく由都に聞いてみたら、普通に否定してた」

「そうなの?」

「うん。家に連れてきた時も、トイレ貸してほしいって言われただけだってさ」



向こうはぜったい気あるよね?と同意を求めてくる沙葉に苦笑いを返す。

たしかに水戸さんは由都の彼女になるとか、それっぽいことを言ってたから、好意があるんだろう。

でも、私もてっきり、由都の好きな人も水戸さんだと思ってた。

のに、……ちがうんだ。



じゃあ、誰なんだろう…。

なんて、私には関係ないっか。



そう思いつつも知りたい探求心がうずうずしているのはどうしてなのか判断できずに、気づけば放課後になった。





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