俺にしときませんか、先輩。



「ふっさなちゃあーん!」


ハイを通り越したようなテンションで名前を呼ばれ、はいはーいと返事をして前を向く。

それはそろそろ教室を出ようとしていた矢先のことだった。



「えへへへ、あのね、お願いがあるんだけどー」

「ん?」

「今年の文化祭のカップルコンテスト! うちのクラスから芙紗奈ちゃんと蒼真くん出てくれないかな!」



え…と声が漏れてしまったのは、モエちゃんの甘えるような瞳にうんざりしたからでは、もちろんない。


カップルコンテスト。

毎年、私の学校の文化祭で開催されるそれは、カップルで参加する答え合わせゲームのようなもので、一番相性良く揃ったふたりにはトロフィーが与えられる。

参加は各自自由だから、まさか出てくれって言われるとは思わず……。




「めっちゃいい考えじゃん、それ」


寄ってきたカヨコちゃんも同調して、文化祭の準備で残っているクラスの半分もうんうんと頷く。
< 115 / 214 >

この作品をシェア

pagetop