俺にしときませんか、先輩。
「ふっさなちゃあーん!」
ハイを通り越したようなテンションで名前を呼ばれ、はいはーいと返事をして前を向く。
それはそろそろ教室を出ようとしていた矢先のことだった。
「えへへへ、あのね、お願いがあるんだけどー」
「ん?」
「今年の文化祭のカップルコンテスト! うちのクラスから芙紗奈ちゃんと蒼真くん出てくれないかな!」
え…と声が漏れてしまったのは、モエちゃんの甘えるような瞳にうんざりしたからでは、もちろんない。
カップルコンテスト。
毎年、私の学校の文化祭で開催されるそれは、カップルで参加する答え合わせゲームのようなもので、一番相性良く揃ったふたりにはトロフィーが与えられる。
参加は各自自由だから、まさか出てくれって言われるとは思わず……。
「めっちゃいい考えじゃん、それ」
寄ってきたカヨコちゃんも同調して、文化祭の準備で残っているクラスの半分もうんうんと頷く。