俺にしときませんか、先輩。

まずい。
なんか、やばい流れになってきちゃってる。


こんな雰囲気を想像したわけじゃなかったけど、でももう仕方ない。


ここで、別れたことを言ってしまおうか。


みんなには見えない位置で固めた拳に覚悟を決め、口を開こうとする。

けれど、その瞬間、大きな音でイスを引いて立ち上がったのは蒼真だった。



「ふざけんなよ」


少し震えも入った苛立つ声に、私も含めみんなが手を止める。



「なんで俺がこいつとそんなのに出なきゃいけないんだよ、冗談じゃない」



怒りを抑えてと言いたげに蒼真の腕を掴む吉野さんに、ちらほらと「まさか」という声が上がっていって。

蒼真が私を睨んでくる。

過去の想いなんて一切無視した表情で。



「おまえも、いい加減にしろよ」



その言葉が投げかけられた瞬間、自分の考えの浅さを呪いたくなった。
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