俺にしときませんか、先輩。
『芙紗奈って、あんまり女の子っぽくないよね』
自覚はあった。
同年代の子たちが履いてるようなスカートはなかなか手が出ず、私は決まってパンツを履く。
声も低くて身長も高いし、顔の系統だって可愛いよりではなかった。
もっとガーリーでふわふわした服を着てほしい。
一緒にいてドキドキしない。
なんか飽きた。
そんな言葉を数えきれないほど聞かされて、努力しようと頑張ったりもしたけど、だめだった。
かわいいと目が合っただけで言われるような女の子とはなにもかもちがって。
恋人のために背伸びして可愛くあろうとしても、似合わないと言われる。
女の子らしく、恋人らしく、そういうのが心底苦手になっていった。
「大丈夫?」
破綻していた関係のなか、初めて付き合った人に浮気をされた時、かけてもらった言葉はそれだった。
その頃、クラスでも一緒に行動を共にすることも多かったモエちゃんとカヨコちゃん。
心配してくれたふたりに咄嗟に大丈夫だと返そうとした口元は震えて、保てなくて、大丈夫じゃないと弱音を吐いた。