俺にしときませんか、先輩。
由都がそんな話のネタにされるのは我慢ならなくて、私は即座に否定する。
「私はそんなことしてない、あんたと一緒にしないでっ」
「は、どうだか。現にそいつと美術室で待ち合わせしてたじゃねえか」
「それは…っ」
「あーもううざいな。クズ男は黙っててくださいよ」
言い争いをしていた私たちの間に、突然どす黒いオーラが侵入してきて、思わず目を見張る。
ゆ、由都…?と腕をつついてみれば、にこっと笑いを返された。
これはつまり…
私も黙ってろと……?
「いいですか、説明するんで、無能なその頭でちゃんと正しく記憶してください」
「なっ、無能だと!?」
「あの日美術室にいたのは俺が先輩を思い出して勝手に行っただけだし、そもそもその前はまともに会ってすらいません。これでどうやって浮気が成立するんですか。こういうのは片想いっていうんですよ、あぁ、もちろん俺のね?」