俺にしときませんか、先輩。
すきです
*
*
「サナちゃんおはよう! そして、ごめんなさいっ」
「ええ?」
朝、いつものように玄関の前で待っていると、出てきた沙葉が急に私に抱きついてきた。
…なになに、何事?
しっかりホールドされている腕の内側からすりすりと身をよじって沙葉を覗き込むと、せっかくの可愛い瞳がうるうるしている。
待って、だれ、私の親友を泣かせてんのは。………私か…?
「聞いたの…。サナちゃんと蒼真くんのこと。気づかなくて、ごめんね」
「…沙葉、」
そっか、そうだ。
蒼真との騒動から1週間くらい。
まあまあな有名カップルの破局の噂はじんわりと広まっていくから、そりゃあ、沙葉の耳にも入るわけで。
「謝るのは私。言えなかったから、沙葉に」
親友なのに。
沙葉はいつも、私になんでも話してくれるのに。