俺にしときませんか、先輩。
「羨ましかったの、沙葉が。……私には惚気られる話もないし、だいたいすぐ別れちゃうし」
新谷くんと付き合ってから、沙葉は乙女で女の子で。
いつも気づけば沙葉の隣にいる新谷くんと、恥じらいながらも笑顔になる沙葉。
ふたりは本当にお似合いで、だから余計に。
「蒼真に浮気されたって、どうしても言えなかった……」
私だけいつも失敗してるようで嫌で。
隠してしまった。
ごめんと謝ると、全力でふるふると首を振る沙葉。
「サナちゃんが倦怠期ってことは話してくれてたのに、気づいてあげれなかった。こっちこそ、ごめんだよ」
「そんなことない」
「そんなことあるもん!」
「ないって」
「あるの!」
「…ふはっ」
お互いにごめんを譲らない私たちは、なんだかおかしくて、でも、だからこそ、親友なのかな、なんて思ったりする。