俺にしときませんか、先輩。

芙紗奈side









「あー、お腹減った」

「お疲れ、サナちゃん」

「ふっ、沙葉もお疲れ」

「…なに、ニヤニヤしてるの」

「だって沙葉、出たんでしょ? カップルコンテスト」



あまりその話はしたくないのか、口ごもる沙葉。

そんな姿に笑っていると、斜め後ろから新谷くんが口を出す。



「朝浦さん、あんま俺の彼女いじめんなよ〜」

「なっ、いじめたのはサナちゃんじゃなくて新谷くんじゃん」

「は? 俺?」

「そうだよ!」



並んでいる屋台の前で睨めっこするふたりは相変わらず周りの視線を集めていた。



今日の文化祭のカップルコンテスト。

何組が参加したのか詳しいことは知らないけど、お化け屋敷の宣伝をしているうちに耳に入ったのは沙葉と新谷くんの話だった。

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