俺にしときませんか、先輩。
「もうそろそろ、文化祭終わりますよね?」
「そうね」
今は16時半を過ぎたとこ。
文化祭は17時までだから、あと30分くらいしかない。
それがどうかしたのか、由都の表情が曇っていく。
「…先輩」
「ん?」
「俺とお化け屋敷、入りませんか?」
「え?」
急にお化け屋敷?
それも一緒にって…。
「私、お化け屋敷の構造だいたい知ってるんだけど」
「いいんです、先輩は普通についてきてください」
「畑宮くんは?」
「こいつは、さっきたまたま会って話してただけで、これから用事あるんです、な?」
「え、あー、はい! 長話しすぎたなー。俺はこのへんで失礼するんでっ」
ものすごい早足でいなくなる畑宮くん。
ぽかんのする私の右手が引かれて、黒いカーテンの奥に引き込まれる。