俺にしときませんか、先輩。

「待って待って、受付は?」


あ…と漏らした由都が、もう一度カーテンから顔を出して、入りますねと告げる。



「これでオッケーです」

「…待って」

「なんですか?」

「手…」



視線を落とす、繋がれたままの手。

まさか、このまま進むわけじゃないわよね。


そわそわしていると、予想に反して、ぎゅっと、さらに指先に力が込められて驚く。



「俺、お化け屋敷苦手なんです。だから手貸してもらいますね」

「苦手って、なんで入ったのよ」

「文化祭なにもしてないんで、思い出づくりです。先輩、こういうの得意だから付き合ってください」



行きますよと引っ張られながら、ふと思った。


由都って結構、私のことわかってる。

たしかに私は怖いものは得意な方で、でもそれを由都に言った覚えはないのに。

沙葉ってどんだけ私の話してんの?
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