俺にしときませんか、先輩。

「大丈夫ですかっ」


すぐに由都もしゃがみ込んでくる。

だけど、あっという声と一緒に絡まった足が由都も転ばせて──。



「……っ」


被さるようになにかが重なる。

…いや、重なったんじゃなくてぶつかった。

……おでこの端と唇の端が。


衝撃で目を開いたのと同時に、ドクン…と胸の高鳴りが内側で忙しなくなる。

前髪に吐息がかかって、あまりに近い距離感に頬に熱が集まってくるのを感じた。



「…すみ、ません」

「……あ、…じ、事故だし、大丈夫…」


落ちてきた声にハッとして立ち上がろうと、絡まっている足元を急いで探る。


…どこっ。

暗くて全く見えない。
これじゃ、なにがどう引っかかってるのか……。



「俺がやるんで、じっとしててください」

「、っ」



冷静な由都の手が、私の足の近くのふさふさを払う。


「………」


むずがゆい沈黙と、時々触れる指先が温度を伴って、私の体温をさらに上げていくようだった。
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