俺にしときませんか、先輩。

「まだ、このまま」

「……え?……なに、」

「しっ」


人差し指を口元に当てる由都。

どういうこと?と目線を送りながら、ドアに耳を近づけた。



「ここに1年生の男子入りませんでした?」

「…え、さあ? 学年までは」

「……ここじゃないのかな」



どこか、聞き覚えのある声。

誰かを探してるのかな?



「水戸だ…」


小さく呟いた声に、えっと反応する私。


あぁ、そっか。
水戸さんか。

彼女の声は少し高めで、わかりやすい。


……ていうか、探してるの、ぜったい由都じゃん。



「…行きなよ」

「しーっ」

「ッ…」



眉毛をくいっとあげた由都が至近距離まできて、私はばっと視線を逸らした。


いきなり近づくな…!


こっちはいちいち反応してしまうのに、由都はなんともなさそう。
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